【若手家族心理学研究/家族療法家に聞きました】

nakanoshinya

心理技術研究会

中野 真也 先生

(先生の御所属はインタビューがされた当時のものです。)

 

 

 


 

 どのような分野・現場で臨床に携わっていますか?

精神科の病院で2年勤務した後、スクールカウンセラーや心療内科クリニックのカウンセラーとして働いています。また、2012年より、「心理技術研究会」という研修組織の世話人代表として、システムズアプローチの定期研修や入門WSにおける講師・トレーナーや特別WSの企画・運営をしています。

研究テーマについて教えてください。

とにかくも「システムズアプローチ」です。システムズアプローチによる臨床実践はもちろんのこと、そのものの見方からいろんなことを見ていくことに関心があります。また、まだまだ未熟ながらも立場上臨床家の指導にあたっており、システムズアプローチを本気で志向する人の成長に関わることにやりがいを感じています。なお、システミックなものの見方を適用して「いじめ問題」の研究をしています。

家族療法は臨床にどう役立ちますか、またどのように役立てていますか?

システミックなものの見方は、個に帰するのではなく、人がさまざまなつながり・関わり合いの中で生活していること、家族を含め人の集まりを踏まえて、臨床的な問題や人となりを考えていくのに役立つと思います。徹底してコミュニケーション・パターンの支店からものごとを捉えると、ある程度セラピーで何をどうしたらいいかが見出せたり、多様な変化の方向性を考えられるなどの柔軟な思考につながると思います。さらに言えば、習熟できるほどメタな視点からいろんなモノゴトを考えられるように感じています。

臨床家を志したきっかけ、そしてそのなかでも家族療法家を志したきっかけは何ですか?

もともとは何を目指すでもなく大学に入り、専攻を決める際に「カウンセリングって面白いかも?」と思って、臨床家の教授のゼミに所属しました。そうしたら、ゼミの課題図書が「コミュニケーションの語用論」やG・ベイトソンで、「分からないけど面白い(?)」と思うようになり、その後「システムと進化(当時。今は「家族療法の基礎理論」)」を読んで、システム論やコミュニケーション論の展開としての家族療法に興味を持つようになりました。大学院に進学後、数人の仲間と面白そうな先生・臨床家の文献を集め、話を聞きに行っている中で、システムズアプローチや家族療法に惹かれ、家族療法の臨床家を志すようになりました。

お勧めの論文を紹介してください。

1.東豊著:「家族療法の秘訣」(日本評論社)

東先生の論文集なのですが、読みやすく、見立てやポイントなど基礎的かつ大事な事柄がしっかり述べられています。システムズアプローチや家族療法を学びたい人から「何を読めばいいですか?」と尋ねられたら、まずこっちをオススメしています。

2.高橋規子・吉川悟著:「ナラティヴプラクティス」(邊見書房)

高橋先生の論文集で吉川先生が編集・コメントされているものです。主にナラティブセラピーの視点から述べられていますが、1つ1つの事例が丁寧に書かれており、家族療法の視点からも考えることができます。優れた臨床家の実践が見られる事例集としても価値があると思われます。

お勧めの本(臨床心理の本に限らず、臨床に役立つもの全般)を教えてください。

私の趣味でもありますが、いろんなマンガを読むことが役立っています。ジャンプ系のマンガなどは、中高生と話をする上で盛り上がったり、治療のメタファーに使ったりもしています。また、自分が知らない職業や業界のことをマンガで触れておくと、その分野のクライアントと出会った時にどんな状況でどういう困り事が起きやすいかをイメージするのに役立ったりもしています。もちろんマンガでなくてもいいと思いますが、楽しみつつ、いろんな人の関わりや思いの一端に触れられ、世界を広げられるようなものはあるといいかもしれません。

家族療法のほかにどのようなアプローチを臨床に取り入れていますか?

システムズアプローチ・家族療法をベースに置いた上で、事例に応じて役だつ技法などは取り入れるようにしています。私自身が理屈で理解できないと使えないタイプなのですが、NLPや認知行動療法などを部分的に適宜用いています。

師・影響を受けた人は誰ですか?

いろんな素晴らしい臨床家や先生から影響を受けていますが、敢えて挙げるなら以下のお二人の先生です。

・吉川悟先生(龍谷大学)

吉川先生のロールプレイを拝見したことが、私が家族療法家を目指すきっかけの1つでした。厳しくも大事なことを指導してくれ、そのおかげで少しはマシな臨床家になってきたのだと思います。「かなわんなあ~」と思いつつも、目標としている先生です。

・高橋規子先生(龍谷大学)

「症状や問題は、その人や関わる人たちの行き詰まりの現れ」として考えるなど、人や臨床的問題をどのように見るかを私に教えてくれた先生です。高橋先生による研修のしすてむを引き継いだ今の研究会においても、その教えを活かしていければと考えています。

臨床家のたまごに先輩として一言

臨床家というお仕事・職業は決して簡単なものではありませんが、だからこそやりがいや楽しさ、成長を感じながら続けることが大切だと思います。そのためにも、良き師や仲間を積極的に見つけ、やりとりしていくこと。自分がやりやすく、成長していけるような人との関わりやシステムを自ら作っていくようにすることが自分には重要でした。参考になれば幸いです。

 

 

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