【若手/実践家に聞きました】

hisamochiosamu

 

 

 

 

やまき心理臨床オフィス
久持 修先生

 (先生の御所属はインタビューがされた当時のものです。)

 

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①どのような分野・現場で臨床に携わっていますか? 

 現在、メインで臨床を行っているのは東京都立川市にある「やまき心理臨床オフィス」で、私設心理相談の分野です。 また、都内の心療内科クリニックにて病院臨床を、そして、都内の療育施設にて子どもの療育を行っております。

 


②研究テーマについて教えてください。 

 

 「これが研究テーマです」とはっきりいえるようなものがまだないのが現状なのですが、
現在までには「初回面接」についての研究を多く行ってきました。
特に、初回面接におけるジョイニングについての研究には力を入れました。
また、現在興味関心のあるテーマとしては以下のようなものがあります
「心理臨床家の成長にとって有効な研修のあり方について」
自分自身が、まだ発達途上にあります。仕事を抱え、限られた時間とお金の中でどのような研修を受けるかは
非常に悩ましいところであります。現在までに様々な研修を受け、正直「アタリハズレ」がありました。
どのような研修が「アタリ」でどのような研修が「ハズレ」なのか?受けた個人の問題だけでなく、
研修会そのものにある程度の共通性があるように感じています。
「アタリ」と「ハズレ」の研修の特徴について研究してみたいと思っています。
「相互作用の視点をとりいれた心理教育について」
臨床を行っていく中で、適宜心理教育を行っていくことがあり、その度に色々な文献を参考にしているのですが、
実際にクライエントに心理教育を行う時には、クライエントのニーズを探り、必要な情報をクライエントに伝わりやすい形にして提供する。
その中で展開されるクライエントとの相互作用こそが心理教育を行う上で重要なのではないかと考えており、
こうしたことを研究してみたいなあと考えております。

 

③家族療法は臨床にどう役立ちますか、またどのように役立てていますか? 

 

 例えば、このような典型的なケースがあります(複数の事例の要素を組み込んで作成した架空のケースです)
スクールカウンセリングにて、担当することになった生徒について、先生から事前情報がありました。
「不登校傾向の子です。この子の母親が問題。かw)なり支配的で、子どものやることなすことに
いちいち首をつっこんでくるので、この母親からなんとか引き離さないと本人が自立できないと思います」
このような場合、母親をシャットアウトして本人だけに会うというのではなく、必要に応じて母親にも会い、
場合によっては、本人と母親同席で会うことが有効だと感じています。
母親をシャットアウトするのではなく、むしろ母親の力を借りながらカウンセリングを行っていくことで、
こちら側の負担がとても軽くなるだけでなく、実際にケースがうまく展開することが多いと感じています。
このように、「使えるものはなんでも使う」精神は、駆け出しの私にとってはついつい
「相手のことをなんでも引き受けてしまう」悪癖を解消する上でも大いに役に立っています。

 


④臨床家を志したきっかけ、そしてそのなかでも家族療法家を志したきっかけは何ですか?

 

 臨床家を志したきっかけというのは特にありません。元々教師になりたかったのですが、
教科教育についてはほとんど興味がなく、より関わりを重視する臨床心理士に関心が移っていった
という感じです。
家族療法については、八巻秀先生との出会いなくしてはあり得なかったと思います。
大学院時代に八巻先生の夫婦面接のケースに陪席してから、家族療法の面白さを実感しました。
その夫婦面接では、セッション終了後、先生とディスカッションを行いました。
そのディスカッションで話されたことが、次のセッションの先生の振る舞いに見事に現れていて、
「なんて柔軟な先生なんだろう」と驚くと共に、紆余曲折あったケースも徐々に良い方向に進んでいきました。
このケースで、私と先生との間で創出されたアイディアが先生のケースにおける振る舞いを通して
実を結ぶということを体験しました。

 


⑤お勧めの論文を紹介してください。

 

あまり家族療法と関係ないかもしれませんが、以下の2論文を紹介します。
「境界例に対する抱えと共感に基づく心理療法の事例」 上地雄一郎先生 心理臨床学研究(2005),23-1
論文に書いてあることを読むだけでも知識として非常に勉強になる内容の濃い論文なのですが、
私はそれよりも、論文に表れている先生の誠実なケース対応にとてw)も感銘を受けました。
「不登校・引きこもり生徒への家庭訪問の実際と留意点」 田嶌誠一先生 臨床心理学(2001),1-2
田嶌先生の論文は「つきあい方」シリーズを含めてどれもお勧めなのですが、中でもスクールカウンセリングについての
この論文は先生の今までの成果が凝縮されているような内容で、非常に役立つと思います。
以上の2論文は学派を超えて役立つと感じさせられたものであり、そういう意味でもお勧めです。

 


⑥お勧めの本(臨床心理の本に限らず、臨床に役立つもの全般)を教えてください。

 

私は、臨床心理の本について言えば、基本的なことが書いてある本が好きで、何度も繰り返し読み返しています。
そういう意味で以下の2つの本をお勧めします。
1.「対話精神療法の初心者への手引き」 神田橋條治先生 花クリニック神田橋研究会
2.「面接法」 熊倉伸宏先生 新興医学出版社
どちらも非常に基礎的なことが書いてあり、ページとしては薄いのですが、内容は非常に濃いです。
私にとっては、日々の臨床の折に触れては読み、原点に立ち返りつつ、また新たな発見を味わう。
そういう本です。

 


⑦家族療法のほかにどのようなアプローチを臨床に取り入れていますか?

 

臨床動作法や認知行動療法などを必要に応じて行うことがあります。
また、めったにありませんが、イメージ療法などもケースによっては取り入れることもあります。

 


⑧師・影響を受けた人は誰ですか?

 

八巻秀先生(やまき心理臨床オフィス・駒澤大学)
私を臨床の世界に導いて下さったのが八巻先生です。
八巻先生には公私共に大変お世話になり、私にとっては
臨床の世界を超えて「人生の師」です。

 

水野淳一郎先生(長信田の森心療クリニック)
以前働いていた職場の上司です。
おそらく今の臨床家としてのアイデンティティのかなりの部分を水野先生から影響を受けていると思います。
水野先生からは、1人の人間として、目の前の人に向き合っていく姿勢を学びました。
中でも、「自分自身の利害を超えて目の前の人に向き合う」姿勢を見せて頂いたことは今の自分に
大きな影響を与えていると思います。 

 


⑨臨床家のたまごに先輩として一言
この質問が一番難しかったのですが、やはり、地道にコツコツと臨床を行っていくことではないでしょうか。
それをやっていくためには、自分の資質に目を向けてくれる先輩や同僚が周りにいるととても支えられると
思います。

 

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