家族療法家の第一人者にインタビュー
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davidmcgillDAVID MCGILL Ph.D

ハーバード大学精神医学部ファミリーセラピー
                    スーパーバイザー 
ケンブリッジ病院カップルズファミリーセンター
                    スーパーバイザー

International Family Therapy Association board
                   (国際家族療法学会理事)

American Professional Psychology association diplomat Family Therapy SpecialistAPA Family Psychology Association medical specialty advance specialty
個人開業

(先生の御所属はインタビューがされた当時のものです。)

インタビュアー 生田倫子 
(メキシコ家族療法学会にてインタビュー)

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Q.MCGILL先生の研究テーマを教えてください。

 

 私は家族療法家であり、世代関係を研究する心理学者です。社会変化の展望がテーマです。ボーエン、フレモ、アッカーマン、構造派、MRI、ナラティブに影響を受けてきました。
 私の研究の興味は、30年前から世界中の文化における社会変化(Social Change)です。世代間関係がどうなるか、どのように社会変化が起こっていくか、女性の変化、結婚形態の変化、夫婦関係の変化、など。70年代はケンブリッジでポルトガルの移民の世代関係を研究し、80年代は日本の社会変化と世代関係を研究しました。
 自国の文化を客観的に見ることは難しく、外国人と共同で観察することが、一番よいスタイルと考えています。

 

Qどんなクライアントを対象にしていますか。

 

 精神医学の病院なので、いろいろな症状のクライアントが来ます。貧困家庭や中流家庭、 恐怖症、うつ病、DV、性的虐待、国際結婚の問題(ボストンとケンブリッジはいろいろな文化からクライアントが来る)。プエルトリコから移民もくる。家族療法家がスペイン語も話します。移民の問題、適応、世代関係に興味があります。
 あるケースでは、ポルトガルのアソレス島から来た両親が英語が出来ず、かつ思春期の文化があまりにも違い、恐怖を感じていました。そして貧しく、かつ適応が難しかったのです。父親の就職が困難で母親も働かねばならず、関係が壊れ、勢力が逆転した。ジェンダーの問題、世代間の問題、そして家族関係の問題、うつが関わっていました。このケースで一番難しかったのは思春期の娘との関係でした。アソレス島では思春期の男女は窓越しに話すだけ。まるでイスラム文化のようなのです。なので両親は、娘が染まるアメリカの思春期の性的な文化がまるで受け入れられず、恐怖を感じていたのです。

 

Q:日本の社会変化を研究されたということですが。

 

 日本家族療法学会の会員でもあるが、1984年から2年間家族と京都に住んでいました。淀屋橋家族療法クリニックでスーパーバイザーもしていました。鈴木浩二先生と中村伸一先生、渋沢先生と関わり、鈴木浩二先生がいた千葉の国立精神衛生研究所にも行きました。

 

Q日本の家族の印象はどうでしたか?

 

 淀屋橋家族療法クリニックではたくさんケースをみましたが、ほとんどのケースが登校拒否でびっくりしました。この驚きは外国人ならではと思います。アメリカにはこのような登校拒否はありません。確かに、小学校でのスクールフォビア(学校恐怖)はありますが、思春期には非行とか家に帰らないとかが問題になります。でも日本の登校拒否は主に思春期の問題であり、かつ家にいるというのが不思議。変!!へーん!! 特別な兆候と思います。社会的な症状と思いました。つまり社会拒否といえるでしょう。

 

Qどのように、社会変化と関連付けた考察をされましたか?

 

 日本の戦後世代は、ショックとそれへの反逆がが仕事でした。次の世代は60,70年代くらいですが、仕事仕事仕事と邁進しました。80年代は日本は安泰で、成功が関心だったといえるでしょう。しかしその後の世代が大きく変化します。成功という社会の目的は達成され、他の目的がなく可能性がなくなってきました。しかし旧2世代、つまり祖父と親は同じ価値観、つまり勉強と仕事をがんばれがんばれという同一価値観を持っています。
 しかし、他の動機が発達せず、つまり余暇がないために、人間関係が夫婦も子どもともあまりありません。父親と子どもの「大きな尊敬」と「少ない関係」が、目的の無さや適応の問題を生むのです。社会拒否、意味のなさ、就職の難しさ、ライフプランとフィットしない、という問題が生じます。
 日本の夫婦関係は、変化があるようでない、不思議な印象があります。父親役割・母親役割から違う役割へと変化しないのか?というのが興味です。

 

若島:日本の引きこもり児は社会に出る必要がないと感じているようですが。

 

 食べることが出来なかったら外に出るのにとも思いますが。引きこもりの親の勉強は役に立ちます。私の展望を1986年に中村伸一先生らと一緒に発表しました。摂食障害拒食症は社会のメタファーだということ。登校拒否は社会的拒食症だと思っています。摂食障害の別の文化のタイプ。人間関係がない、できないのです。
 アメリカと比べて思春期の登校拒否はあまり悪くない。友達がいて、勉強も大丈夫であることも多いのです。たぶん親の夫婦関係が悪く、父親不在で、社会拒否であるといえます。
 アメリカでは学校は勉強やスキルを学習する場所です。アメリカは個人主義的で集団がありません。社会がないのです。しかし日本においては学校は勉強と集団適応を学ぶ所。外人の視点でいえば、集団関係が一番大切な目的であるように見えます。つまり友達を作るということや、社会集団を学ぶことが重要視されます。だから登校拒否は勉強というよりは集団拒否に見えます。

 

Q 将来の日本の問題はどのようなものと思いますか?

 

 将来の現象として、自殺、中高年の自殺、熟年離婚、ジェンダーの問題、嫁拒否、妻が夫との離婚を望むということを予測します。近年の、日本の女性が結婚したくないという問題も、たぶん「嫁」拒否があるはずです。嫁の意味は前の「家」システムですし。

 

Q家族療法の展望をどのように考えますか?

 

 異国間のコラボレーションがとても役に立つと思います。他の国を見て、自国に帰るとそれだけでパースペクティブを持つことができます。個人的な視点ではなく、文化的視点を持つことを期待しています。

 

Qお勧めの本を教えてください。

『Ethnicity&Family Therapy』 Monica McGoldnick・Joseph Giordano・Nydia Garcia-Preto(編)

 

Q日本の家族心理学・家族療法を学ぶ学生に一言。

 

ぜひ世界へ来てください!

 

 

 

 

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