【ガチンコ大学院予備校(立正大学心理学部若島研究室所属)】 
講師 松井博史
 (立教大学博士課程)


※このページの内容に関するご質問や相談は受け付けておりませんのでご了承ください。

   

目次

大学院とはどういう存在か
迷うならやめなさい
それでも大学院に行きたい人へ

こんな人が求められています
どの大学院を選ぶか
どのような勉強をするか
家族心理学系の大学院選びのコツⅠNEW!
家族心理学系の大学院選びのコツⅡ
NEW
研究室訪問について

落ちたらどうする?(担当 池亀真司)
社会人入試



大学院とはどういう存在か
 
 大学院受験について話す前に,大学院とはどのようなところかについて述べたいと思います.というのも学部生や社会人の方は、大学院で自分がどのような生活を送るのかについてあまり知らない傾向があるように思うからです。
 大学院(修士課程)では,臨床心理学専攻の院生といえども全員が2年間で一定水準以上の研究を各自が行い,修士論文を書くことが求められます.卒業論文の内容や在学中の研究を学会で発表する人も多く見られます.
 このような研究活動に加えて通常の授業,カウンセリング実習などがあるわけですから,かなり忙しいことは間違いないでしょう.研究・臨床ともにこなそうとする院生は睡眠時間を削って勉学・研究に打ち込む人がほとんどです.よく、もう少し勉強をしたいからという理由で進学を志す方がいますが、「新入社員として就職」するつもりでないと必ず挫折します。

back


迷うならやめなさい
 
 このように,大学院合格後には,忙しい2年間(博士課程に入学するとさらに最低3年)が待っています.同級生たちが就職している中,院に残って生活するのは大変なストレスで,心身の調子を崩す人も多いと聞きます.そのような苦労を経て,晴れて卒業しても,卒業後最初から常勤職を得られる人はわずかです。
非常勤の中から評判のいい人を引き抜く形で常勤職員が雇われることがほとんどであるからです。
 ですから,私は大学院に行きたいという学生に向かっては,「迷うのならやめなさい」と言うようにしています.どうしてもやるんだという固い決意なしには,倍率の高い家族心理学系大学院の合格などおぼつきませんし,仮に運良く合格したとしても,入学後やっていけるかどうかわかりません.

back


それでも大学院に行きたい人に

 家族心理学系の大学院を受けようとする人は,臨床心理士の資格を取るという観点から大学院を選ぶ人が多いようです.とにかく合格すればよいという考えの人も多くみられます.しかし,入学後指導を受けた先生に一生お世話になる可能性が高いのですから,大学院は先生をみて選ぶようにしましょう.具体的には,その先生の専門と,論文などの業績,そして,その先生が指導した院生は就職できているかなどです.
 いろいろな本を読み,院生や学生と交流して情報を集めましょう.受験前に志望の先生と直接話せればよいのですが,それは難しいことが多いようです,説明会などを利用しましょう.先生の授業や講演会などに参加させてもらうのもよいと思います.以下ではこれらについてもう少しくわしく説明します.

back


こんな人が求められています

 まず,研究に興味のない臨床志望の学生は非常に多いのですが,基本的に大学院でまわりに認められ,きちんと卒業するためには研究能力は必須です.また,指導する教授の立場からは,臨床人気で入試の倍率は高くなったものの,臨床心理学という学問自体に興味を持つ学生が減った,という愚痴もよく聞きます.最近では,就職先においても自分たちの活動の成果として学会発表や論文の執筆等を求められることも増えてきているようです.
 このような考えから,たとえば私たちの予備校では仮に受験に必要ない場合でも,統計や実験計画法の勉強から逃げることは許していません.また,入学後役立った勉強を聞くと,圧倒的に統計・実験計画法関連を答える学生が多いです.
この勉強をしていないと入ってから落ちこぼれてしまいます。
 次に,カウンセリングうんぬんの前に,基本的なコミュニケーションスキルに欠ける人は当然ながらこの分野でも評価はされにくいと思います.カウンセラーの前にやはり社会人であるべきですから,挨拶やメールの送り方などの作法は最低限きちんとしておくべきだと思います.

 その他に求められるものとしては,入試で問われるような論文を読む力,英語論文を読むための英語力、研究計画力,知識などがあります.また,入学後の授業は通常少人数のゼミ形式で行われ,常に発言や発表を求められることも知っておいたほうがいいでしょう.この文章を読んでいる人にはいないでしょうが,就職から逃げて大学院に進んだ人からは、すぐに『こんなに大変なら院に進学なんてしなければ良かった』と聞くことになります.
 最後に付け加えると,大学院生になると,同級生と露骨に比べられます.良くも悪くもできる人とできない人がはっきりするので,シビアではあるでしょう.それほど厳しくないところもありますが,どちらにしろ,まわりがどうあれ自分のなすべきことをしっかりやる強さが一番必要とされているのかもしれません.

back


 どの大学院を選ぶか

 大学院受験と大学入試では,受験先の選択方法は大きく違います.はっきり言って大学としてのステータスや偏差値などはまったく当てになりません.なぜなら,大学院進学ということは,すなわち「○○先生門下」つまり弟子入りすることを意味しており,その先生がどこにいるかは決定的に重要ではないからです.ですから,選択のポイントは当然指導教授ということになります.大学院選びイコール指導教授選びといってしまっても過言ではありません.

 通常,卒業研究や普段の勉強の中でつきたい先生が自然に生まれてきたという人が多いと思います.学会や研究会に参加し,そこで一目ぼれしたという人や,学部時代の指導教授から紹介を受けて受験したという人もいます.家族療法に関しては,それほど多くの先生がいらっしゃるわけではないこともあり,合格レベルに達するほど勉強している人なら自然につきたい先生は決まってくるでしょう.問題は,家族心理関係でしっかり志望を定めてしまうと,併願先に非常に困るということです.中途半端な家族心理関係の先生についてしまったことで,本当に知り合いになりたかった先生とは連絡がとりにくくなってしまった,まったく関係のない院にしか受からなかったが,先生に理解があり他大学の家族心理の先生のゼミに出席させてもらえたなどの例もあり,毎年この問題には頭を痛めています.

 付け加えてもうひとつ,変なことをいうようですが,あなたが抱く先生のイメージは,入学後まず裏切られるものと思ってください.学部時代によく知っている先生でも同じです.院生になるということは,その先生のいわば内弟子であり,その後は戦力として計算されます.教授職の義務として指導していた学部時代とは扱いもまったく変わるものと思ってください.研究室の風土によりますが,大学院では指導教授の「弟子」としてやっていくわけです.指導教授の研究指導能力だけでなく,人間的にこの人とやっていけるのかというところが実は一番のポイントかもしれません.このあたりについて一番よくわかっているのは,先輩,つまり今院生をしている人でしょう.この人たちの話を聞くチャンスがあったら何をおいても話を聞くべきです.

back


どのような勉強をするか

 みなさんも知ってのとおり,近年臨床心理学を専攻する大学院,中でも家族心理学系の大学院の人気は非常に高く,倍率が5倍以上の大学院はざらです.ここでは入試の実情と勉強方について簡単に述べてみます.

 大学院受験は,多くの場合英語,専門,面接,研究計画書の4点で行われます.配点に関しては大学院により異なりますが,英語と専門がある程度できることが受験の最低条件です.詳しくは過去問題等を見てみるとよいでしょう.多くの大学院の窓口で過去問題のコピーを配布しています.

 しかし,英語や専門などのお勉強がいくらできても,研究計画書がひどかったり,面接で臨床心理学専攻としては不適とみなされてしまうと不合格になってしまう可能性が高いのが大学院入試の特徴です.卒業論文の作成が忙しい中,入学後の研究計画を作るのは大変ですが,大学院によってはこの出来が合否を左右することも非常に多いといえます.忙しい中いかにこれら4つをこなすかが合否の分かれ目です.

back


家族心理学系の大学院選びのコツⅠ

 さて,具体的な大学院の受験先ですが,他のところで説明したように第一志望については自然に決まってくることが多いと思います.決まらない人は,研究計画書を先行研究にあたりながら一生懸命書いてみるのがおすすめです.なぜなら,先行研究にあたることで先生の名前や研究分野を覚えますし,研究計画書を書くことで自分のやりたいことがしっかりしてくるからです.そして,テーマの一致もさることながら,自分が尊敬できる研究や活動をしているという基準で受験先を選びましょう.
 受験時に提出した研究計画書のとおりに修士論文を書く人はまずいませんから,入学後は指導教授の指導にしたがって研究計画を一から練り直すことになります.院生として,自分の興味よりも指導教授の指導や研究の価値を優先するのは当然のことですが,その際に自分がどれだけその研究に打ち込めるかは自分と指導教授のテーマの一致度と,指導教授の研究とコミュニケーション両面の能力が大きく関係すると思います.

back


家族心理学系の大学院選びのコツⅡ 

 さて,とはいっても受験生にとっての一番の関心は,どの大学院を選ぶかということよりも,どこを受験し,合格通知を得るかというところでしょう.実際,ここまで受験の倍率が上がってしまうと,きれいごとばかりは言っていられず,何校か受験することになるのは当然だと思います.
 併願校の選び方や合格の秘訣などは,多少企業秘密という面もありますが,教えられる範囲で少しだけアドバイスしますと,1つは受験先の選択基準(評価関数)の定義ということがあげられます.受験生は日程や過去問題の容易さなどで安易に併願校を決める傾向がありますが,本来,併願校の選択は自分の進学希望度と予想合格率とを考慮して決めるべきものです.このあたりの,極論するならば受験と自分の未来にどれくらい正面から向き合えるかということが受験先の選択と受験準備には大事です

back


研究室訪問について

 先に,大学院選びはすなわち指導教授選びだといいましたが,もうすこし正確にいうと,研究室を選ぶということになると思います.つまり,何よりも大事な指導教授との関係の上で,院生が何人いるか,博士は出ているか,就職状況はどうかといった,その先生門下全体のシステムは非常に重要になるのは家族心理学を勉強しているみなさんなら容易におわかりでしょう.

 そのため,研究室にじかに訪問してみることは非常に重要です.先生と話すことで,
・その先生は院生をほしがっているか
・どのような学生をほしがっているか
・外部生が特に気をつけて勉強すべきことはあるか

 などがわかります.ただし,先生と事前に話すことで受験を有利にしようなどと姑息なことを考えてはいけません.しかし,もっとも重要なのは,その際にその先生の教え子たちと話すことです.名刺などを用意してどんどん声をかけましょう.先生から聞いたのとは違うリアルな入学後の生活を聞けるはずです.

 とはいっても,最近は受験希望者があまりに増えた成果,研究室訪問を断るところも増えてきました.そのような場合はその先生の授業に出てみたり,つてを頼って院生を紹介してもらったりするとよいでしょう.

back


 

 

落ちたらどうする(担当 池亀真司)

どんなに一生懸命勉強しても、試験である以上、落ちることもあります。指定大学院ともなればなおさらです.こんなときは、今まで勉強してきた自分を褒めてあげましょう. 「よくここまで頑張った」と.しかし、立ち止まってばかりはいかないでしょう.新たな進路を考えなくてはなりません.

 ここでは、残念ながら落ちてしまった後の進路として、研究生(科目等履修生)と大学院予備校を簡単に紹介していきたいと思います.


【研究生(科目等履修生)の場合】
 大学には、研究生として他の院生に混じり志望教官のゼミに参加できる科目等履修生を認めている研究室が多いようです(詳細は各大学にお問い合わせください)。大方、研究生は週一回のゼミに参加し、書籍・論文等のまとめ・発表の機会を得ることができます.

 メリットとして、①研究室の雰囲気や志望教官のお人柄・興味関心などをより深く知ることができる、②院生との情報交換によって、なかなか知ることができない情報を得ることができる、③本試験までのモチベーションを保てる、④顔を覚えていただける等が挙げられます.
 しかし、あくまでもゼミに一緒に参加できるだけであって、勉強を教えてくれるわけではありません.しっかりとした目的意識をもち、貪欲な姿勢でゼミに臨みましょう.


【大学院予備校(通学)の場合】 大学院予備校情報
 指定大学院の難化に伴い、大学院コースを設けている予備校も多いようです.一般的なメリットとして、①資料(過去問、研究計画書の見本)の豊富さ、②きめこまやかな指導(研究計画書指導、個別面接指導など)、③同じ目的意識をもつライバルの存在、④勉強のペースメーカーになる等が挙げられます.
 とにかく、資料の豊富さ、徹底した学習指導という面から言えば予備校は理想といえるでしょう.しかし、学費の問題(予備校によってばらつき有り)を十分吟味した上での選択が望まれます.


【大学院予備校(通信添削)の場合】
 予備校より割安で、学習資料の提供や勉強法、研究計画書指導を自宅にいながら受けられるというメリットがあります.しかし、①質問はできるが、一人で勉強しているため孤独である、②モチベーションが保ちづらい等のデメリットもあります.

どれも、うまく活用することで、非常に有益な学習の起爆剤となることでしょう.自分にあった方法を吟味し合格をつかみとってください.

back




社会人入試


 最近は一度社会に出てから大学院に戻るケースが増え,積極的に社会人を受け入れる大学院も多くなってきました.社会人入試として,英語などの試験を免除した特別な入試枠を設定しているところも多いです.

 社会人の方には,当然ながら前職での人生経験,また意外に大切な入学後のマナーや礼儀などを期待されていると思います.一方,英語ができない,仕事のためあまり学校にこない,研究意欲がないといったイメージがあることも事実です.研究第一の大学院において,統計や英語論文の読解ができない社会人院生が研究室のおまけ的存在になっているのもよく見かけます.このため、不適応に陥る社会人が多いのも事実ですし、そのフォローは自己責任です。
 社会人を歓迎しているのか,どのような社会人を求めているのかは大学院によってかなり違いますから,事前によく調べることが大切です.社会人入試に限らず,優秀な人ならどこにでも受かるというわけではなく,やはり研究室ごとに(大学ごとではありません)求められる人材はかなり違ってきます.
 



Copyright © 2017 家族心理.com. All Rights Reserved.
Joomla! is Free Software released under the GNU General Public License.