【本ページ監修 高橋誠】
                                            
○問題を家族からアプローチするとは?
○家族療法ってどんなカウンセリング?カウンセリングを受けてみたいあなたへ
○少々専門的に学びたい方へ
○家族療法に含まれるアプローチ法とは?
○もっと詳しく家族療法を学びたいあなたへ(家族療法の歴史・主なアプローチ法の紹介)

 

 


 

 

【問題を家族からアプローチってどういうこと?】
 

問題を抱えた人が、「穴ボコにはまってしまった状態」にいる、とイメージしてみてください。自分なりになんとか出ようともがいていても出られない状況です。もしくは出るのがおっくうで外が怖くなっているのかもしれません。
 カウンセラーが援助していなくても、家族が一生懸命引っ張ろうとしていることは間違いありません。
しかし、出にくい方向から引っ張っていたり、?引っ張る方向がばらばら。
もしくは、一人で引っ張りあげようとしてしまい、周囲の人が協力を遠慮している、ということもあります。
 そのような時は専門家が穴から抜けやすいルートを探し、家族が本人を引っ張る力を援助することが有効です。

 

 


 

 

【家族療法ってどんなカウンセリング?-カウンセリングを受けてみたい方へ-】

 

家族療法とは、個人はもとより、個人を取り巻く家族関係や家族員全体を対象として行うカウンセリングです。そして、家族とともに問題解決をしたり、家族自身の力で問題解決していくことを援助するための方法です。 問題の解決に焦点を当て、本人や家族の中にすでに持っている問題解決能力を引き出していきます。

詳しく述べると ↓

 家族療法とは、家族を一つのまとまりを持ったシステムとみなし、その家族システムを対象としてアプローチしていく、システム論に基づいた療法です。

 例えば、不登校になってしまったお子さんがクライエントとしましょう。家族療法の場合、家族システムの中で、この不登校になったクライエントはたまたま症状を出した人または「患者とみなされた人(Identified Patient:IP)」であり、このIPだけの問題として捉えるのではなく、このIPがよりよく機能できるように、家族全体のシステムの問題として捉え、カウンセリングをおこなっていきます。

 家族という生きたシステムの中では、ある現象が何らかの原因にもなり、また、結果にもなるという因果関係の円を作っています。子供の不登校という現象は、夫婦間が上手くいかないという母親のストレスが原因になりうることもあり、またこの不登校という子供の現象が、夫婦の関係をさらにギクシャクさせることにもなりうる。 ひとりの変化が、家族システム全体の変化をもたらし、また家族システム全体の変化は、ひとりの変化をもたらすことになりうるのです。

 このように、原因と結果が円のようにグルグルと周り相互に関係し合うことを、円環的因果関係といいます。
「じゃ、問題を抱えた子がいる自分の家族は、やはり問題があるんだろうか?」
「なんで、この子だけが学校に行けないのか、お兄ちゃんは何の問題もないのに・・・」
確かに、学校に行けない子供より、行けている子供のほうが問題がないように見えるかもしれません。でも、この不登校になってしまったお子さんが悪い訳でも、ご両親がダメな訳でもないのです。この不登校になった子は、家族という円がより丸くなるように声にならない声を出しているだけなのです。その声を聴いて、家族全体がよりよく機能できるように介入していくのが家族療法だと考えます。

 

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   [ もっと専門的に学びたい方へ ]

      【家族療法の歴史】

 

   家族療法は、基本的にシステム論に基づいたアプローチのことですが、そのなかにもさまざまな考えかたによって細分化されています。以下にその代表的なものをあげておきます。

     
  •   短期/家族療法・ブリーフセラピー
  •   ソリューション・フォーカスト・アプローチ
  •   家族療法 (構造派・戦略派・MRI派)
  •   ナラティブ・セラピー

 家族療法以前

   「カウンセリング」は、本来、パーソンズ(Persons, F.)によってはじめられた職業指導に端を発します。当初、心理テストなどのアセスメントを利用し、カウンセラーがアドバイスを行うというものでした。その後、戦争を逃れてアメリカにやってきた優秀な精神分析家たちの影響で、アメリカでは精神分析が隆盛期を迎えました。その頃、精神分析的アプローチに対する3つのアンチテーゼが提出されました。第一は、ロジャース(Rogers, C)の来談者中心療法。第二が、行動療法。第三が家族療法でした。

 

家族療法の発展

    精神医学の分野で、サリバン(Sullivan, H. S.)が、「精神医学は対人関係論である」として、特に、母子相互作用に焦点を当て、精神分析の領域でも、アドラー(Adler, A.)が人間を社会的存在として捉えるなど、個人から対人関係に焦点が移り始めてきた時代、ベイトソン(Bateson, G.)が、ジャクソン(Jackson, D. D.)、ヘイリー(Haley, J.)、ウィークランド(Weakland, J. H.)と共に、家族コミュニケーションの視点から、二重拘束仮説(1956;Double Bind Theory)を発表しました。これは、家族療法の発展を促す、画期的な研究であった。相前後して、様々の重要な研究が発表されました。

    こうして、家族療法の第一世代が輩出しました。1980年以後、ホフマンらを中心に家族療法の統合が図られ、また、セカンドオーダードサイバネティクスやオートポイエーシスなど第2・3のシステム理論の観点、社会構成主義の観点を取り入れるなど、様々な発展、変遷を遂げ、次世代の家族療法が生まれて来ています。以下に諸派の概略を記します。

 

①コミュニケーション派(MRI〈Mental Research Institute〉グループ) ;

    アメリカの西海岸に位置するカリフォルニア州パロアルトにMRIがあるところから、パロアルトグループとも呼ばれる。短期療法が生み出す中心的な役割を果たしたグループ。天才的な催眠療法家ミルトン・エリクソンや文化人類学者G・ベイトソンらの二重拘束理論(*)の流れをくむ臨床家たちが発展させた。コミュニケーションには「内容」とは別の次元で発生するメッセージ(ブロセス、メタ・コミュニケーション)があるとの前提に立つ。セラピストは主訴の背後に潜む相互関係の機能不全にも気づくように援助することで、表面上の変化(第1次変化)だけでなく、家族システムそのものの構造的変化(第2次変化)を促進させる。家族内すべてのコミュニケーションの質的改善を目指す。その特徴は、第一にシステム理論、第二にコミュニケーション理論、第三にチーム・アプローチ(複眼視)と、三つをあげることが出来る。

 

※戦略派(ヘイリー)

    系譜としては,コミュニケーション派の延長線上にある。「人間的成長」などのように長期にわたる目標設定を避け、家族の主訴を迅速かつ効果的に解決することを優先する。に端を発する逆説的介入法を活用し、独創的な戦略的技法を開発している。

 

 ②精神力動的家族療法(アッカーマン・グループ);

    MRIのジャクソンと共に、ファミリープロセス誌を創刊したアッカーマンを中心とするグループ。精神分析的な色彩が非常に濃く、実際には、精神分析的な個人療法も行っていた。アッカーマンの業績は、精神分析、個人療法が常識的であった当時の精神医学界で、家族に焦点を当てて、その必要性を説き、精神分析理論を家族療法の理論へと昇華させたところにある。

 

 ③多世代派家族療法(ボーエン);

    精神分裂病の家族研究をしたボーエンが、家族療法を体系化したもの。個人のなかで理性と情緒とが十分に分化しているかどうかを重視し、個人が家族から分離しているか、融合しているかを問題にする「家族システム論」を提唱。ボーエンの特徴は、自己の分化、即ち、知性システムと感情システムの分化および融合状態が、人間関係においても、分化した人間関係、融合した人間関係を生み、融合状態が世代間に渡り伝達されて症状を形成するという点にある。よって個別化と自立性の促進を治療目標とする。

 

 ④構造派家族療法(ミニューチン);

    ミニューチンのアプローチは、家族システムの構造特性を明確に規定するところに特徴がある。家族構造の捉え方として、境界線、提携、権力の三つに注目している。ミニューチンの治療においては、家族の構造の再構築を促すような介入を行う。家族システムにセラピストが溶け込む過程(ジョイニング)を重視し、サブシステムの境界に働きかけ構造変革を促す。ミニューチンは特に、母子の共生的サブシステムを解体して、新たに両親のあいだに連合関係(両親連合)をつくりあげることが、治療的に有効だと主張している。構造的アプローチは、ミニューチンがスラム街などの貧困家庭のセラピーに従事したという事から、非言語的、実効的なアプローチを特色とし、特に、拒食症に対するアプローチとしては、非常に評価が高い。

 

⑤ミラノ派(システミック・アプローチ);

    ミラノ派のシステミック・アプローチは、1967年、精神科医セルビーニ・パラツォーリ(Selvini Palazzoli, M.)が、イタリアのミラノに、家族療法研究センターを設立したことから始まる。MRIグループと並んで、短期療法を生み出した中心的なグループ。ベイトソンのシステム認識論を最も忠実に臨床的文脈に持ち込んだ学派といわれ、症状を個人の異常や障害という視点からではなく家族システムの視点から理解しようと努め、そこから肯定的な意味づけを見出す。システミック・アプローチでは、症状が家族システムの維持に肯定的役割を果たしていると積極的に認めて、家族に対しても現状の維持(症状が続くこと)を勧める。これに対して家族は困惑するが、その動揺こそが固定し繰り返されてきた家族の関係や交流のパターン(悪循環)を壊し、新たな家族システムの再編成を促すきっかけになる。「家族ゲーム」の概念、定常法、対抗逆説、仮説化・円環性・中立性という面接のためのガイドライン等、MRIグループとよく似たアプローチを生み出した。

 

 ⑥解決志向アプローチ(Solution focused approach);

    スティーヴ・ド・シェイザー(de Shazer, S.)、インスー・キム・バーグ(Berg, I. K.)らによって提唱されてきた短期療法のひとつのアプローチです。彼らは、アメリカのミルウォーキーにあるBFTC(Brief Family Therapy Center)を活動の場としており、ミルウォーキー派とか、BFTCアプローチとも呼ばれている。

 

 ⑦ナラティヴ・モデル;

    ナラティヴ・モデルは、書き換え療法とも呼ばれ、マイケル・ホワイト(White, M.)やデーヴィッド・エプストン(Epston, D.)らによって発展してきたアプローチです。彼らの理論を要約すると、問題を抱えるクライアントたちのドミナント・ストーリーを書き換え、違った新しいストーリーを創出することによって問題解決を図ろうというもの。

 

 ⑧リフレクティング・プロセス

    北ノルウェーのトム・アンデルセン(Anderson, T.)を中心としたグループによって発展したアプローチです。これまでの家族療法・短期療法では、面談するセラピストとクライアントを、ミラーの背後にいるセラピストのチームが観察し、セラピストが、このチームと相談をしながら結果をクライアントに伝えるという方法が採られてきた。リフレクティング・プロセスでは、そのミラーの背後にいるチームの話し合いの様子を、面接の途中で、照明スイッチを切り替えることによって、クライアントらに公開し、後に、その話し合いについてのコメントを求め、面接を続けるという手法を採用する。システムの自己治癒力を尊重したアプローチ方法だといわれている。

 ⑨協働的言語システムアプローチ;

    これは、ハロルド・グーリシャン(Goolishian, H.)や、ハーレン・アンダーソン(Anderson, H.)らによって提唱されているアプローチである。彼らは、ヒューストンのガルベストン研究所を中心に活動しており、ガルベストングループとも呼ばれている。彼らは、解釈学や社会構築主義の考え方を徹底的にモデルに引き入れている。最大の特徴は、人間のシステムを言葉と意味によって成り立つシステムと捉えている点である。対話を通して意味生成を重視する。


システム論

   システム論の特徴は

  • システム内で生じる関係のパターンをとらえ
  • システムそのものの持つ構造をとらえ
  • システムそのものの持つ形を分析していく

   よって、
 (家族)システムに対し、治療チームにより(システミックアプローチ)、症状・主訴をシステムとの関連でとらえ(円環的見方)、システムを全体としてとらえる中で(仮説・検証)、システムそのものが変化できるように働きかけることで(介入)、症状そのものを消失させていく治療法」といえます。

   システム論的な家族療法には以下の特徴があります。

  • 様々な問題は、家族が影響しあう相互関係の中で捉えようとする。
  • 「原因探し」「悪者探し」は行いません。
  • 過去の原因を探すより、いまここ、またはこれからのことに注意を向けていく。
  • 問題の解決に焦点を当てて行っていく。
  • よい面に目を向けて行う。
  • 本人や家族の中にすでに持っている問題解決能力を引き出していく。

   また、従来の療法と比べると、

  • 因果論的治療との決別している。
  • 個人の人格的変容を第一義に扱わない。
  • 治療効率がよく、短期(ブリーフ)であるケースが多い。
  • システムの変容の結果としての症状の消失・軽減。

   といった特徴が挙げられます。

 


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